アプリで80人と会っても「運命の彼女が見つからない」男性の“婚活沼”

アプリ

マッチングアプリ沼にハマった24歳男性

マッチングアプリには“沼”があります。なかなか出会えずに退会できない人がいる一方、「出会いが多いからこそ決めきれない」という沼にハマるタイプが一定数います。会えない人からは「何を贅沢な!?」と反感を買いそうですが、でも、彼らは今日も真面目に探し続けているのです、運命の相手を。  今回お話を聞いた遊星さん(仮名・24歳)は、大手企業の営業職としてバリバリ働きながら、マッチングアプリを駆使して婚活をしています。会った人数はのべ80人。コロナが落ち着いた直近は1ヶ月で20人ほどと会ったといい、そのハングリー精神とテクニックに、思わず筆者も前のめりになります。  ただ同時に、気になることも……そんなに会っても、運命を感じる人って、いないもの?

「コロナで会えない」は言い訳

そもそも遊星さんと出会ったキッカケは、マッチングアプリHでした。彼がリアクションをくれ、プロフィールなどがしっかりしていたこともあって、やり取りをスタート。その中で彼がマッチングアプリ玄人であることがわかり、正式に取材をお願いしたのです。 「春のコロナ真っ只中でも、僕はマッチした方と公園デートをしたりしていました。今は普通にお茶で会っている子もいますし、『コロナで出会えない』って言う人に対しては、嘘だろって思いますね」

公園デート

コロナでも公園デートなどで出会いを続けていたという。そのハングリー精神はどこからくるのでしょうか…?(写真はイメージです、以下同)

堂々と話す遊星さんが駆使するアプリは、気軽な出会いの多いT、ハイスペな出会いを売り出すTK、最大手のP、後発だけど本気ユーザーが多いと噂のW、業界大手のTA、最近リリースされたテスト版のマッチングアプリHなどなど……って、頭文字にするとなんのこっちゃですが、とにかく多い。 「最近大手Pにやっと登録しました。さすがに沢山使って沢山会っているので、コツとかテクニック、傾向も身につきましたよ。これだけ数が多いマッチングアプリは、自分にハマるものが絶対にあるはずなので、それを見抜くことが大事ですね。  リアクションをする(=いいねなどを異性に送る)のは、これから人気が出そうな新規ユーザーです。離脱率も高いのですが、いれぐい状態の前にきちんとアピールしておくといいますか」  遊星さんいわく、Tは見た目がハーフっぽい男性がリアクションをもらいやすいなど、それぞれのアプリ毎に受けの良さの傾向があるといいます。って、出会って遊びたいのではなく、婚活したいんだよね? 筆者は思わず笑いながら聞き返してしまうのでした。

80人と出会っても失敗する

「真面目に恋愛したいと思って相手を探していますよ。今まで80人くらい会っていますが、勢いで体の関係を持った女性はいませんから。仲良くなって相手の家で一緒にカレーを作ったこともありますが、それでも何もしませんでした。だって、勢いに流されて関係を持っても、その後気まずいじゃないですか。その気まずさが分かっているから、不用意に関係を持ちたいとは思えないんですよ」 キッチン 80人という数字に圧倒されそうになるものの、遊星さんの目的はあくまでも「本気の彼女を見つけること」と、ブレずに真面目です。もちろん80人出会う中で付き合った方もいるものの、なかなか運命を感じることはないようです。 「直近の彼女は11歳年上のモデル風の女性でした。見た目が凄く好みだったのでお付き合いしましたが、3ヶ月で別れました。その前は3歳年上の女性で、こちらは1年半くらい交際しました」

常に恋愛していたい!がモチベーション

彼の場合、恋愛相手が見つかる確率は、ざっと1/40人。これを多いとみるか少ないとみるかはそれぞれですが、一体そのバイタリティの源はどこか、そして迷走する数はどうして生まれるのでしょう。 デート「いい人がいて決めきれないというよりも、いいなと思える人がいなくて今があるんです。僕が一番重要視するのはやっぱり見た目! それと同時に、話していて楽しいと思えるタイプが理想なので、ハードルが高い自覚はあります。ただ、決断力はないので、なかなか彼女が出来ない原因はそこでしょうか」  それと同時に、マッチングアプリを続けるモチベーションを、自分が恋愛体質であることも理由にあげています。依存的な恋愛をするわけではありませんが、恋愛をしていた方が仕事も頑張れるし、今までずっと恋愛をしていたからこそ、しない日常が考えられない。そのため、日々いいなと感じられる彼女を探しているわけです。

マッチングアプリは攻略しているけれど……

ちゃんと成果も出ているし、付き合えてもいるから、間違ったことはしていない遊星さん。筆者も思わず「凄い!頑張って!」と声をかけてしまったのですが、同時に「それで本当に効率的なのかなあ」という疑問も湧いてきます。 選択肢 人は、選択肢が多すぎると幸福度が下がる、という研究があります(※)。選択肢が多すぎることで期待感が無駄に高まり、選択する時間がかかり、後で「別のものを選べばよかった」と自分を責める。そんな状態で人を選び続けると、過剰なストレスがかかってしまう。このサイクルに陥ると、たくさんの人と会うほど人は幸せを感じにくくなるとも言えます。 「恋愛していた方が仕事に張り合いがあるから」という理由で、マッチングアプリを駆使し、月20人に会ったりしている遊星さん。ですが、その労力を一旦脇に置き、仕事に集中した方が成果は出るのでは……なんて、筆者も気づけばペラッとした感想しか抱けなくなってしまい、目をパチパチさせて正気に戻ります。 ※米国の心理学者、バリー・シュワルツ博士による研究「選択のパラドクス

出会いの先の「恋愛」にも目を向けよう

遊星さんは、マッチングアプリでは出会いの勝ち組ともいえます。きっと今後もたくさんの女性と出会い、そして時々付き合って、上手くいったりいかなかったりを繰り返す中で、人を見る目も養われていくのでしょう。  24歳という年齢だからこそ、めいっぱい頑張ってと思えるのですが、正直、テクニックだけが蓄積されるやり方は、出会うという目的では正解でも、その後の恋愛をするという目的にとって正解なのかはわかりません。  彼が本当に好きだと思える相手と出会い、そして恋愛の本質的な部分を見出していくことを祈り続けるのでした。